おくりびと

終活を語るときに、よく映画を取り上げて解説をさせていただいております。
そんな私のブログでは先ず第一話としてあげておきたい映画が2008年、滝田洋二郎監督による「おくりびと」です。この映画は葬儀にかかわるものについても、死について沢山の方の考え方が変わったなと実感させてくれた映画でもあり、どうしても第一話にしなくてはなりません。
原作は青木新門氏の「納棺夫日記」とされており、主人公を務めた。本木氏の働きかけにより映画化されたということ話は有名です。しかし原作とは異なる部分も多くそんざいしております。映画は死生観を強く感じるほど山形を背景にした大自然と思いどうりになかなかならない人生の先にある人間の終焉を、はっきりと理解させてくれます。その上で、死別は残されたものにとって痛みでもあるが、間違いなく人間としての成長の場でもあることが示されているように感じます。
さらに、夫が納棺夫という仕事に就いたことを知った妻の困惑のシーン、「触らないでよ汚らわしい」と言った言葉の中に、それまでの忌ごとに対する慣習や、主人公本人の思い等を考えると、葬儀にかかわり、さらに遺族に関わるものとして、考えさせられる事が多かったと言える映画でした。
そんな映画の中で最も私が取り上げたいことが、一人ひとりに違う物語があるということ、妻をなくした夫の感情の起伏に触れ、友人の母の死と関わる人々、そうした一人ひとりの物語を感じた先にあった父の死、それはそれでまた彼の中の違う物語があってのことでした。一人ひとりのそんな生死の営みに関わらずに、大自然の時は流れてゆくこと。終活名画座の第一話としてまさにふさわしい、高齢化社会に向けた日本人の死生観に少し変化をもたらした映画といえるのではないでしょうか?

おくりびと (Departures )
2008年日本映画滝田洋二郎監督
第81回アカデミー賞外国語映画賞
第32回日本アカデミー賞
最優秀作品賞