家族ゲーム

第四話は森田芳光監督によります家族ゲームを取り上げます。
この物語は、テレビでもリメークをされており沢山の方がご存知だと思いますが、私は森田芳光氏による脚本・監督を手がけられた家族ゲームにとても心が惹かれて止みません。
先にお話をすると、死生観を感じる映画でもなく、人生の終焉を語られているものでもありませんが、一つの時代の変化を感じることの出来る映画だとして取り上げました。
息子の受験により少し変わった家庭教師と、普通の家庭と思える家族との出会いとその付き合いが物語の大半で構成されております。近代社会における家族関係の変化と言う意味では、私の考えるエンディングノートが必要になった時代が来たと再認識をさせられるような映画だったと感じております。
時代はちゃぶ台からダイニングテーブルへと変化した象徴的なシーンがあります。
家族はそれぞれ互いの話をしているようで、不思議とお互いの目を合わせることがありません、横並びでよく時をする象徴的なシーンが幾度か出てきますが、その家族の目線の先にはおそらくはテレビが合ったのでしょう。そしてより平均的に誰もが自分らしさよりも、よりよい学校へよりよい会社へと望むのが当たり前になった時代ともいえる頃を、食卓で見事に象徴しているようにも感じました。
ちゃぶ台における食卓では、お互いの顔を見合わせながら学校の事、近所の事、親戚の事などがその話題となりました。いつしかそれはテレビと言う情報の箱から出てくるものが食卓の話題となり、一番知っているはずの家族が、夕食と言う家族交流の場を変化してしまった時代の映画とも言えます。
破天荒な家庭教師はそんな事をひとつひとつ指摘するわけでもなく、かけ始めている家族関係に暴力的に働きかけをしてゆきます。皆さんはこの映画を見てどんな風に感じられるでしょうか?自分史や家族に対するメッセージが必要になってきた時代にターニングポイントとして取り上げさせていただきました。

家族ゲーム
1983
年 日本映画 森田芳光監督 
追記
同監督の作品は人間描写がとても面白く、好きな作品が多く存在しております。偶然でしたが同監督の追悼に立ち会うことが出来た事は、私としては大変誇りに思うことの一つでありました。