東京家族

第二話として、東京家族を取り上げたい。
1953年に小津安二郎監督により映画化されたということですが、1959年生まれの私としてはその映画を拝見した事もなく、その後テレビや舞台でリメイクが行われたといわれておりますが、今回私が取り上げたのは山田洋二監督によります。2013年に公開されました東京物語になります。
瀬戸内海の小島から上京した両親を迎えた子供達との間で、ごくごくありがちな普通の生活や空気が流れている。大歓迎をされながらも、それぞれに家庭を持つ子供たちの日々のリズムの中では、常に両親の相手が出来るわけでもなく、子供たちの生活の様子を、寂しさと同時にそれぞれの活躍をも確認した両親でしたが、「なかなか思うようにいかんもんじゃの」と、特に男親とはさびしいもので、どこにも行く当てもなく久々に再開した友人と飲み明かすシーンなどは、なんともしんみりとしてしまう。私の両親は共に東北出身で、父方の祖父母は同居をしていたが、まれに状況をして来た母方の祖母の様子を思い出してしまいました。
父も本人もなんとなく苦手にしていた次男坊昌二でしたが、母とののんびりとした時間もほのぼのとして、ここでもやはり物語を感じるわけでしたが、そんな旅先で母は急逝しまいます。倒れた母の重篤である事を、病院の待合室で知った時の長女の狼狽と嗚咽のシーンでしたが、転じて臨終に立ち会った直後に父親の喪装を心配するシーンなどは、なんとも映画の中に可能な限り現実的な日常をと言う意思を感じてしまいました。
別れはやがて来るもの、そして必ず悲嘆の先にはその再生と言う、自ら立ち上がることが必要な事を知らされます。一人の家族を失って、また昌二の婚約者と言う形で家族にまたキャストが増えてくる様子。まさに人生に終焉はあっても、家族はエンドレスなんだと言う事を感じさせてくれる映画という事で、取り上げてみました。

東京家族 
2013年 山田洋二監督 作品(監督50周年記念作品)

追記、
2012年秋に偶然葬儀式場に会葬にこられた監督と遭遇、 葬儀式場であった事もありますが、お車の手配なども申し出ましたが、なんとも物静かな紳士でしたことが強く印象に残っております。